撮影距離、被写体距離、像距離というのも一見ややこしそうだ
 焦点距離の定義は、レンズを無限遠にしたときのレンズの後側主点から焦点までの距離ということだった。では3mぐらいの被写体にピントを合わせるとどうなるんだろう。距離リングを回転させて近くのものにピントを合わせるとレンズ鏡筒が繰り出してくる。焦点距離は一定だから、この繰り出し量の変化でどんな距離にある被写体もフィルム面に結像するわけだ。焦点距離と繰り出し量を加えた長さを像距離と呼んでいる。つまり、レンズが繰り出されたときの後側主点から焦点面までの距離のことだ。これに対して、被写体距離というのは前側主点から被写体までの距離をいう。さて、図を見れば明らかだが、一般によくいわれる撮影距離というのは、被写体からフィルム面までの距離のことだ。つまり、被写体距離と像距離、そしてレンズの主点間隔を加えた長さに相当する。また、この撮影距離は、鏡筒先端から被写体までの距離(作動距離または稼動距離〉と、鏡筒先端からフィルム面までの距稚(メカニカルディスタンス)を加えた長さにもなるわけだ。レンズに関するいろいろな距稚が出てきたが、この辺を理解しておくと、接写拡大撮影など厳密な距離を考慮する分野で役に立つ。






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