よく使われるレンズのタイプ

 交換レンズは焦点距離によって、標準、広角、望遠などそのレンズの機能から分類することができるが、1本のレンズの中の1枚1枚のレンズがどのような形状を与えられ、いかに配置し組み合わされているかで区別する方法もある。いわば、レンズの種類をレンズ構成の型式から分類したものだ。このレンズタイプはレンズの歴史的な発展とともに、さまざまな形態のものがあるが、現在の交換レンズに使用されている代表的なものは次のようなタイプだ。

1.対称型レンズ
絞りをはさんで前後に似かよった形状をしたレンズがほぼ対称的に配置されている。この対称型にはガウスタイプ、トりプレットタイプ、テッサータイプ、トポゴンタイプ、オルソメタータイプなどがある。この中で代表的なのはガウスタイプとその変型タイプだ。F1.2〜F2クラスの大口径の標準レンズに採用され一般化している。このガウスタイプは、対称型のメリッ卜である、諸収差が少なくすべての性能にバランスがとれた万能型レンズということと、対称の中でバックフォーカスが比較的とれるということから、一眼レフ用標準レンズの主流となったものだ。

2.テレフオト型レンズ
このタイプは、レンズの前面から焦点までの距離が焦点距離より短いものだ。だから、焦点距離の長い望遠レンズはほとんどこのタイプを採用している。テレフオト型レンズの構成は、前方に強い凸レンズの作用をする群をもうけ、後方に凹レンズの作用をする群が配置されている。レンズに入射した光線は前群で急激に絞られ、後群でのばされてレンズ全長が短くなるように工夫されている。このタイプは非対称型なので、諸収差が発生しやすいが、画角が小さいため補正しやすい。ただ、問題となるのは焦点距離に比例して出やすい軸上の色収差で300m以上の望遠では頚著になりやすいので、その補正に最大の苦心が払われている。なお、焦点距離85〜135ミリの中望遠レンズでは、後群に弱い凸レンズを使っているものが多い。
3.インバーテッドテレフオト型レンズ
このタイプは、逆望遠型といい、一般には、レトロフオーカスタイプとして知られている。バックフオ
ーカス(レンズ後靖から焦点までの距離)が焦点距離よりも長いところに特徴がある。だから、カメラ内部でミラーが作動する一眼レフの広角レンズはすべてこのレトロフオーカス(商品名)型だ。テレフォト型とは逆に、レンズの前方に強い凹レンズ系があり、後方に凸レンズの作用をするレンズ系が配置されている。このタイプも非対称型なので諸収差の補正が問題となるが、ガウスタイプなどと比べ、周辺光量が比較的多いことがメリットになる。この周辺光量を多くとるため、初期の広角レンズはレンズ前玉がやたら大きくなったが、現在では、設計の進歩によって、広角レンズでもコンパクトになっている。






戻る