レンズのピント合わせは距離リングの操作によってレンズの光学系を前後に動かすのが普通だが、このときレンズの光学系が直進するものと回転するもの、同時にフィルター枠が直進するものと回転するもの、あるいはフィルター枠は動かないものなどがある。このレンズ鏡筒内の動きの違いによって、さまざまなフォーカスタイプがある。
1.(前群)直進ヘリコイド式
●距離リングを回転させたとき、光学系もフィルター枠も直進するタイプ。ほとんどのシングルレンズに採用されている。フィルター枠に取り付く付属品も直進前後移動するため、マクロストロポ、偏光フィルター、切欠きフードを使用しても問題ない。
●距離リングの回転により、光学系は直進し、フィルター枠が回転するタイプ。フィルター枠に付属品を取り付けると、フィルター枠が回転するため付同品も一緒に回転する。そのため、ピント合わせ後、付属品の回転方向の位置調整が必要だ。前玉フローティング機構を持つ大口径レンズに採用されている。これらのレンズでは上記の方式にすると距離リングの外径が大きくなるからだ。
2.前玉直進へリコイド式
光学系の前玉のみが直進し、フィルター枠も直進する。特に、このズームレンズは至近距離を短くし、マクロストロボと併用してメディカル分野に使用できるようにしたもの。フィルター枠に付属品を取り付けることを可能にしたが、構造は前玉回転へリコイド式よりも複雑になる。
3.前玉回転へリコイド式
●ズームレンズ
光学系(前玉のみ)とフィルタ一枠とも回転する。この方式はズームレンズの1リング式、2リング式のどちらも同じで構造が簡単だ。前玉でフォーカスするタイプのものはこの方式が採用されている。回転方向に規制のある付属品は使いにい。
●シングルレンズ
距離リングの回転により光学系、フィルター枠とも回転する。
4.前群回転へリコイド式
光学系のレンズ群が前群と後群の2つに分かれている2群ズーム方式のズームレンズに採用されているタイプ。光学系の前群とフィルター枠とも回転する。フィルター枠のタイプにより2種類ある。
●フィルター枠が鏡筒内に入り込んでいろタイプ
1)鏡筒全長が長い、2)フィルター枠に取り付ける付属品で回転方向に規制のあるものは使いにくい、3)切欠きフードが組み込んであるのでフードの効果が期待できる、4)2リング式の場合、ズームリング距離リングが光軸方向に移動しないため、2つのリングをほぽ同時に操作できる、などの特徴がある。
●フィルター枠が鏡筒最前部に突き出しているタイプ
l)第1レンズとフィルター取り付け面までの寸法が変化しない構造が必要、2)操作性は上のタイプより優れている、3)回転方向に規制される付属品は使いにくい、などの特徴がある。
5.リアフォーカス式
光学系の一部(後群レンズ)を移動して距離合わせを行なうもので、フィルター枠とは無関係。望遠系レンズに多い。1)小型、軽量、細身の鏡筒、2)フォーカシング操作がスムーズに行なえる、3)至近距離が短縮できる、4)理想的なバリピッチフォーカシング、5)フォーカシングによる重心移動がないため撮影時のバランスが良い、などの特徴をもっている。
6.ラックピニオン式
光学系の一部(後群レンズ)を移動して距離合わせを行なうもので、フィルター枠とは無関係。光学系はリアフォーカスと同じタイプだが、メカニズムの作動からラックピニオン式という。1)小型、軽量、細身の鏡筒、2)フオーカシング換作がスムーズに行なえる、3)至近距離が短縮される、4)フォーカシングのロック装置取り付けが容易、などの特徴がある。
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