ピントを合わせた被写体の前方や後方であっても、許容ボケより小さいポケかたなら、被写体と同じにはっきり写ったように見える。その範囲が被写界深度だが、被写体より手前の被写界深度を前側被写界界深度、後方の深度を後側被写界深度と呼んでいる。さて、この被写界深度には4つの性質がある。 1.レンズの絞りを開くほど深度は浅く、絞るほど深くなる。 2.近距離にピントを合わせると浅く、遠距離に合わせると深くなる。 3.ピントを合わせた距離の手前は浅く、後方は深くなる。 4.レンズの焦点距離が長いと浅く、短いと深くなる。 これらの性質は、たとえば1.の場合、50mmレンズで3mにピントを合わせると、絞りをf/4で写すよりf/8の方で写すほうが被写界深度は深くなるし、また2.の場合は、絞りを同じf/4で写しても、ピントを3mよりl0mに合わせたほうが深度は深くなるというわけだ。3.の場合は、3mにピントを合わせたら、3mより手前の深度より後方の深度のほうが深くなるという性質だ。レンズの距離目盛と被写界深度目盛をいろいろ合わせてみればすぐに納得できるはずだ。4.の場合は、28mmの広角レンズと200mmの望遠レンズなどとを比較したとき、絞りをf/4と同一にした条件では、200mmより28mmのレンズのほうが被写界深度は深くなる。広角レンズは被写界深度が深いので、わずかに絞るだけでも近景から無限遠までが深度内に入るのでパンフォーカス技法も容易だ。反対に望遠レンズでは深度が浅いためにピントを合わせた被写体だけをシャープに写し、前後をぼかすアウトフォーカス技法が使える。さて、この被写界深度幅は計算式で求めることができる。 過焦点距離=(焦点距離)2乗/許容ボケの直径*F値 被写界深度の近い限界=(過焦点距離*撮影距離)/(過焦点距離+撮影距離) 被写界深度の遠い限界=(過焦点距離*撮影距離)/(過焦点距離−撮影距離) 過焦点距離とは後側被写界探天度が無限遠に達するときの撮影距離で、このとき前側被写界深度はその撮影距離のl/2になるのだ。なお、一般の写真レンズには被写界深度目盛が表示されているので利用しょう。 |