5.別(わけ)の国から根別(ねわけ)の国はできない。根(もと)の国は阿波!
1.淡道(あわじ)の穂(ほ)の狭別島(さわけのしま)(淡路島)
2.伊予の二名島(四国)
 ア.粟国(あわのくに)は、大宜都比売(おほげつひめ)
 イ.讃岐国(さぬまのくに)は、飯依比古(いひよりひこ)
 ウ.伊予国(いよのくに)は、愛比売工(たけよりわけ)
 工・土佐国(とさのくに)は、建依別(あめのおしろわけ)

3.隠岐(おき)の三子島(みつごじま) 天之忍許呂別(あめのおしころわけ)

4.筑紫島(つくしのしま)(九州)
 ア.筑紫国(つくしのくに)は、白日別(しらひわけ)
 イ.豊国(とよのくに)は、豊日別(とよひわけ)
 ウ.肥国(ひのくに)は、建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよくじひねわけ)
 エ.熊曾国(くまそのくに)は、建日別(たけひわけ)
5.伊伎島(いきのしま)(壱岐島)天比登都柱(あめひとつばしら)
6.津島(つしま)(対馬島)天之狭手依比売(あめのさでよりひめ)
7.佐渡島
8.大倭豊秋津島(おおやまととよあきつしま) 天御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきづねわけ)
と記されています。四国の伊予国は愛比売(えひめ)、讃岐国は飯依比古(いひよりひこ)、阿波国は大宜都比売(おおげつひめ)という個性的な名をもつ神ですが、九州や大和は白日別(しらひわけ)・豊日別(とよひわけ)・建日別(たけひわけ)・天御慮空豊秋津根別(あまつみそらとよあきづねわけ)という、仮の記号をつけてあるような名前の国であるうえに、『本家(ほんけ)から別(わ)けた』という、別(わけ)のついた国々の名前と四国の神名とでは重みが違います。
 畿内を指す天御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきづねわけ)の「ー根別(ねわけ)」とは、「根(もと)の国(くに)から別(わけ)た国」ということです。「根(ね)の国」は、どこになるのでしょうか?これまでの解釈では、神武天皇(じんむてんのう)が九州の日向から出発し紀伊(きい)から大和(やまと)に入ったとなっていますが、土佐から後(あと)の国は「ー別(わけ)」のつく国々です。
 『広辞苑』に「別(わけ)」とは、「古代の姓の一。主として古来の地方豪族が称した。景行紀「これ播磨ーの始祖なり。…諸国のーと謂へルは、即ちその別王(わけのみこ)の苗裔(びょうえい)(末の血筋〉なり。」
とあります。このように地方の豪族が根(ね)であったり、別れた「ー別(わけ)の国(くに)」から「ー根別国(ねわけのくに)」ができるはずがないことは、普通の人なら分かることです。にもかかわらず、なぜ、九州の日向から神武天皇(じんむてんのう)が出発したと考えることができるのでしょうか?また、九州はどの国であろうとも、すべて「ー別(わけ)」のついた国ですから、九州が、根(ね)の国にはなりません。古事記には、そのように書いてあるのです。「神武天皇は日向から出発した」という通説は、どのように考えて、九州の日向から出発したというのでしょうか。天(あま)つ神の子孫、神武天皇が東征(とうせい)して大和ができたことから「根別(ねわけ)の国」と、古事記ははっきりと記述しています。

 それでは、根の回はどこになるのでしようか。
先に示したように「阿波・讃岐・愛媛」の「またの名」は「大宜都比売(おおげつひめ)・飯依比古(いひよりひこ)・愛比売(えひめ)」という固有名詞がついています。このことから四国が、中心地であり重要な地域であることがわかります。国生みは、淡路島から始まりましたが、淡路島のまたの名は「淡路の穂(ほ)の狭別島(さわけしま)」〈稲穂の先の別れという意〉、つまり、本家(イ稲穂)(いのくに)の別れの島です。紀州(きしゅう)「紀国(きのくに)〈木の国)」も、倭国(いのくに)の神武天皇(じんむてんのう)が紀国(きのくに)へ行ったから紀伊(きい)になったと考えられます。
 先にも説明したとおり、四国は伊予(いよ)の二名島(ふたなじま)といい、伊予は「予の国」でしたが、阿波「伊(い)(倭)(いつ)の国」が、予の国へ隆りついたから伊予となったのです。「伊予国風土記・天山」及び「天孫降臨の地と久米一族の調査研究」参照
 また、讃岐国も阿波の穀靈・大宜都比売(おおげつひめ)の「飯(い)〈食料〉」に依存する国ですから、「またの名」が飯依比古(いひよりひこ)となっています。つまり、飯(い)の国(阿波)を頼(たよ)る国で、昔から「讃岐男に阿波女」といわれ、古代より阿波は、女の国であり、母なる国であるからこそ、すべて阿波が元(もと)とである根(ね)の国になります。古代は、阿波へ行くのが上りですから淡路島(阿波へ行く島)と呼んでいます。また、さらに、現代社会においても、全国の人が何も知らず阿波の穀靈(こくれい)・大宜都比売神(おおげつひめがみ)をお祀りして拝んでいることを、次ぎに説明します。